「至れり尽くせり」は慎重に!
89才の母は、血圧の薬は飲んでいるものの、耳もよく聞こえるし歯も28本全部自分の歯。
でも、歩くの嫌、疲れるの嫌。お出かけも面倒だから嫌。欲しい物はない。ラジオを聴きながらベッドで横になるのが好きで、起きるのは、何か食べる時とトイレと入浴の時だけという生活をしている。そのため、いつも寝起きのようなぼぉーとした表情で、摺り足がひどくなったような気がする。
ここ3年ぐらい、食材買い出しのたびに、母の喜びそうなお菓子を幾種類も買ってきていた。母は、和菓子でも干菓子でもスナック菓子でも好き嫌いもない。飴も大好き。私は、母が飽きないように、いろいろ新しい菓子を見つけ出すことがいつしか楽しみになっていた。また、そうすることで母の機嫌のよい顔を期待していたような。
でも、1か月ぐらい前から母のためにお菓子を切らさないようにするのは、止めにする作戦を始めた。
理由は、母の自立機能回復のため。(と心を鬼にして、自分に言い聞かせている。)近くのストアにも行く必要をなくし、自室で横になっていることが「快適」と勘違いしている母、できることもしなくなっている母、そのくせ「何もできなくなった」と嘆く母。腹立たしいほど情けなく…。
作戦から2週間ほどたった先週と今週の2回、母は、シルバーカーを押して、お菓子を一人で買いに出かけていた。(私は、日中仕事だったので夫が教えてくれた。)
私「お母さん自分で買い物してきたんだねえ。」
母「うん、このごろ全然食べる物(菓子)ないから。でも、家に帰り着くと足が上がらないから、もう行かないから。」
私「一緒に買いに行く?」
母「気ままに一人がいい。」
母「ついでに買ってきてくれればいいのに、この頃冷たいねえ。」
でも、お陰で、母は、外へ出かけざるを得なくて頑張って歩けたし、商品を選べたし、店員さんと話せたし、支払いもできたし、作戦成功。これからも、「至れり尽くせり」は慎重にしよう!